
政府がロシアに厳重抗議
乗組員らの即時解放を要求
北方領土周辺海域で日本漁船がロシア国境警備隊から発砲を受けて拿捕(だほ)され、1人が死亡した事件について、外務省の原田親仁欧州局長は16日午前、ロシアのガルージン駐日臨時代理大使を同省に呼び、厳重に抗議した。
原田局長は「日本漁船が我が国固有の領土である北方四島の我が国領海内で、ロシア側から銃撃を受けたことを意味し、到底容認できない」としたうえで、「銃撃で1人が死亡する異常事態が発生したことも容認できない」と強調。再発防止や拘束された乗組員らの即時解放を要求した。
同代理大使は「申し入れは速やかに本国に伝える。特に乗組員の安否は速やかに確認のうえ、連絡する」と述べた。(読売新聞) - 8月16日12時58分更新
先ずはロシア国境警備隊の発砲を受けて死亡したカニかご漁船『第31吉進丸』甲板員・盛田光広さんのご冥福を祈るとともに、他の乗組員の早期解放を求めたい。
こと北方領土問題についての私の認識は、四島は速やかに返還されるべき日本固有の領土であり、そこがロシア側の領海内であれ日本側の領海内であれ、発砲によって日本人一人が死亡し、日本漁船が拿捕された事実は北方領土問題にも深く大きく関連するもので、到底容認し得るものではないだろう。
ロシア側は「日本漁船は航行中に無灯火で標識も掲げていなかった」「停船せず、(国境警備局の)小型艇に体当たりしてきた。船の進路、船尾、上方に向けて射撃したが、船体に向けては発砲しておらず、漁船に貫通痕も損傷もない」「発砲・拿捕はロシア海域内である」と説明しているが、こういう場合に周辺国の良識は望めない。向うも国家の面子が賭かっているがゆえに一切の主張を譲らず、その公式見解が信用に足らないからである。
しかし、今回の発砲事件で、国家とは国境線を死守するためには如何なる強硬措置も辞さない姿勢が改めて鮮明になったのではないか。ロシア側の対応がどうあれ、これを機に、日本も内閣総理大臣の公式見解として「我が国の領海内に侵入した不審船舶は、理由の如何を問わず撃沈する」ことを大々的に表明すべきだ。
国民の生命が奪われた以上、猛然と抗議する外務省・日本国政府の姿勢に、まさしく外交とは武器を持たない国家対国家の戦争であり、真の国家の姿を見る思いである。
―その逆もまた然り。領海侵犯をした一隻の外国漁船に停船を命じるのみで毅然とした対応をとらなかったがために、たちまち日本は侮られ数十、数百隻の外国漁船が日本の領海内に侵入してくる事態を招いたのではないか。
同様に定住化が進む不法滞在外国人の存在は、日本の国境線が侵害されていることを意味する。一人の不法滞在外国人だからといって見過ごせば、たちどころに増加を許す羽目になってしまうだろう。集団密航の船舶など一人どころか一度に数十人を各地の港から不法入国させている。
この度の操業が仮に少年によるものだったとしてもロシア側の対応に例外はなかっただろう。これが国家であり、国境線が国家間で持つ重要性なのではないか。
同じく不法滞在外国人問題でも一人の少年少女だからといって安易に例外をつくることは断じて許されない。しかし、日本は何も今日明日で強制送還すると言っているのではない。ごく例外として特別に猶予期間を認めることも有り得るから、その間に帰国の準備をしなさい、というぐらいの事はやってきたはずである。
こんなに優しい国家が他にあるだろうか。
その上で数千人、数万人単位の不法滞在外国人を一気に強制送還したことで外交問題に発展させると言うなら、相手国に対して日本の立場と事情を毅然と説明すべきであると考えるものだ。
それも国境線をめぐる主張が一致しない上での戦争(外交)であろう。
(有門大輔)
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