長崎県で発生した銃乱射事件で、亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。
周辺住民、容疑者の銃所持許可取り消し求めていた
佐世保乱射 長崎・佐世保乱射事件で、自殺したスポーツクラブ会員の無職、馬込政義容疑者(37)=同市船越町=が5年前に猟銃所持の許可を得た際、周辺住人が佐世保署に許可の取り消しを求めていたことが15日、分かった。当時の許可の是非について、同署は「法的な要件を満たしていた」としているが、住人の一部は同容疑者の身辺調査など当時の署の対応が不十分だったとした上で、「銃を持たせていなければ事件は未然に防げた」と批判している。
長崎県警によると、馬込容疑者に対しては平成14年7月、県公安委員会が「標的射撃」を目的に許可。15年2月には「狩猟と標的射撃」を目的に新たに2丁の所持を許可し、同年6月にも同じ目的で空気銃1丁、さらに今年9月には3丁目となる散弾銃所持の許可を与えていたという。
銃刀法は原則、散弾銃やライフル銃などの所持を禁じているが、狩猟や標的射撃などの目的に限り、都道府県公安委員会の許可があれば所持することが可能。ただし同法は所持の欠格事由として精神障害やアルコール・薬物中毒、公共の安全を害する恐れなど11項目の規定を設けている。
実際に審査するのは申請者の住所地を管轄する警察署で、申請時には医師の診断書の提出を求めたり、戸別訪問などによる身辺調査を通じて前歴などを入念にチェックするため、一般に「世界で最も銃所持の難しい国」と評価する声もある。
ところが、関係者によると、馬込容疑者は数年前から深夜や未明に付近の住民宅を突然訪ねてくることが多くなり、散弾銃を自宅前の路上で持ち歩く姿が頻繁に目撃され、住民も奇怪な行動を不安がっていたという。
馬込容疑者宅の近くに住む会社役員の男性(67)は約5年前、同容疑者の異常な言動が目立つため、地元の交番に散弾銃所持の許可を取り消すよう通報したが、その後も同容疑者の身辺調査など署の具体的な対応はなかったという。
男性は「安心して暮らせないと何度も言った。散弾銃を持たせていなければこんな事件は起きなかった」と批判する。
これに対し同署は「当時の調査は適正だった」とした上で、「法的な要件をクリアしていれば、猟銃所持を許可するしかない」と話している。
(12月15日 産経新聞)
国民を守る義務を放棄したツケは大きい!
長崎県におけるスポーツクラブでの散弾銃乱射事件は佐世保周辺のみならず日本中を震撼させた。
事件の報を聞いた時、欧米では頻繁に聞かれる銃の乱射事件が日本でも日常的になりつつある危機的状況を改めて思い知らされた。
鳥獣保護及狩猟に関する法律が改正された直後であっただけに、日本政府・与党としても頭を悩ませているところではないか。
この法改正では、各地で相次ぐ熊やイノシシなど野生動物によって農作物を荒らされるなどの被害が出ている地域の自治体が、猟銃を所持する資格を持ったハンターを「狩猟要員」として雇用することを可能としたものである。
佐世保での銃乱射事件を契機に、猟銃所持に関する資格付与や警察による調査を厳格化すべきという声が高まることも予想されるが、続発する野生動物の出没に悩まされる地域では、より多くのハンターの確保が急務とされている実情があるようだ。
こちらも人が熊に襲われるなど人命に関わる問題だけに状況は深刻と言わねばならない。
佐世保での乱射事件に話を戻そう。
スポーツクラブ『ルネサンス』は全国各地に展開するトレーニング・ルームや水泳教室、テニス教室、シェイプアップ教室などが併設されたスポーツクラブで、私も一時期、会員としてお世話になり汗を流したことがある。
私もクラブに通っている頃は予想だにしなかったが、運動中に事故死する可能性はあるにせよ、まさかスポーツクラブに来て銃撃を受けるとは誰しも思わないだろう。
平成13年に大阪・池田小学校で宅間守(判決確定後に死刑執行)による殺傷事件が起きた頃、「おかしな奴がいつも学校を狙うとは限らない。次は病院かも知れないし役所かも知れない」と冗談めかしの指摘もあったが、まさに今回、それが現実のものとなった。
それより前からデパートや公園内における無差別の殺傷事件は頻発していた。大抵は抵抗力のない児童や幼児、乳児らが被害を被ったが、佐世保の事件では大人までが犠牲となり、しかも今度は銃器を使った犯行である。
まして佐世保で乱射事件を起こした馬込政義容疑者(37)について、数年前から見受けられた奇怪な言動に加えて散弾銃を所持していたことから、近隣住民は度々警察に銃所持の許可取り消しなど予防策を求めていたという。
各地で続発していた無差別の殺傷事件…そして精神異常をきたしていた男が銃を所持しているとなれば、治安のエキスパート集団である警察なら散弾銃を乱射した挙げ句に8人が死傷する事件などは予測出来そうなものではないか。
馬込容疑者の奇怪な言動のみならず、散弾銃を手に自宅前を徘徊する姿まで目撃されていたのだから、これはただ事ではない!
銃など動物を撃つのでなければ人を撃つ以外にないだろう。凶器になり得るどころか凶器以外の何物でもない。
しかも町中で手に持つなどは誰かを傷付ける意図以外に考えられず、これはこの場で摘発され、銃所持の許可も即座に取り消され、銃は没収されていて然るべき事例だろう。
さらに地域住民の中には一度や二度にとどまらず、何度も警察に銃所持の取り消しと訪問・調査を要請している。時には知人の警察幹部を通じてまで。
住民が警察に通報したのは一人や二人ではない。
…結果、二人の尊い生命が無慈悲に奪われ、負傷者まで出す大惨事を引き起こしたのだから、地域住民が「銃を持たせていなければ事件は未然に防げた」と憤るのも無理はないだろう。
明らかに警察の怠慢だ!
確かに銃所持の要件をクリアしていたのかも知れないが、これほどまでに危険な兆候がありながら何ら対応せず動かなかった!
その結果として大惨事が引き起こされたのだから、これは長崎県なり国が遺族に対して賠償金を支払うべきだろう!
(※事実、平成14年に栃木県宇都宮市で無職の男が隣人の主婦を射殺した事件で、男が事件の約1カ月前に栃木県公安委員会の許可を受けていたことが判明。宇都宮地裁は今年5月、県警の担当者が男の身元調査などを怠ったとして、県に対して遺族らへ約4700万円を支払うよう命じている。−毎日新聞より−)
加えて言うなら、長崎県警は度重なる相談を受けていたにも関わらず対応をとらなかった真意をつい勘繰ってしまう。
いつ、どこへ向けて発砲するやも分からぬ男が散弾銃を手にしている時、近隣住民が唯一とれる防衛手段は警察に通報することであり、こうした明白な事実がある以上、警察として動くのが当然ではないか。
それをしなかったということは、脅威を与えられている地域住民にも銃所持の許可を得て、武装せよということか…?
余談ながら今月15日、千葉県柏市の柏中央公民館で日中友好についての講演を行なった東洋学園大学教授の朱建栄(中国共産党の対日工作員と目される)は、「米国や旧ソ連から核攻撃の脅威を受けたために中国は核武装した」と手前勝手な理屈を展開した。
この論に従うなら、北朝鮮の核の脅威に晒される日本も核武装しても良いことに繋がるだろう。
同様に銃を持った不審者に、同じく銃を持って対峙したとしても抑止力の行使に他ならない。
不審者の銃所持について警察は動かず、それに対峙した地域住民の銃所持が違法というわけはあるまい。
これでは、いよいよ熊やイノシシなどの野生動物に限らず、狂人対策のハンターを各自治体で確保する必要があるだろう。
どちらも等しいくらいの脅威を人々に与えている。
銃器に限らず凶器を持った不審者が徘徊していれば、名目は何であれ猟銃を持ったハンターが多忙な警察に代わって睨みを利かせる行動をとってもらうというのはどうか…?
警察は銃器が関わる重大事案について積極的に動かぬことで、却って銃社会の到来を奨励し、自らの権威まで失墜させつつあることに気付かねば、今後起こり得るであろう銃器を使った外国人の凶悪犯罪にも到底対処することが出来なくなるのではないか。
事件後、教会近くで自殺した馬込容疑者の家族は牧師に謝罪の言葉を述べたというが、まず、ひたすら謝るべき相手は犠牲者と佐世保市民に対してであろう。
容疑者の母親らはカトリック船越教会に毎週末に通っていたようだが、祈りを捧げるのみではどうにもならない。
いざ、わが子が他人を殺すとなれば自らがわが子を殺してでも阻むのが親の努めであり、銃を所持せずとも、その姿勢を見せることで教会での祈りも実を結んだはずである。
自ら治安を守る―、自らが世に創り出した最高傑作(わが子)が世間様を煩わせないようにする―こうした本来あるべき責任放棄が日本中に蔓延している現状を佐世保乱射事件が浮き彫りにしたように思えてならない。
〔有門大輔〕
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<佐世保発砲>
散弾銃所持、容易に許可
佐世保の乱射事件では散弾銃が使われた。散弾銃、ライフル銃などの猟銃は銃刀法で原則として所持が禁じられているが、一方で射撃や狩猟を目的に都道府県公安委員会の許可を受ければ比較的容易に持てる。馬込政義容疑者も、散弾銃所持は許可を受けていた。発砲事件は後を絶たず、許可のあり方をめぐって改めて議論を呼びそうだ。
散弾銃などの許可を得るには、公安委員会の講習会を受講し、その後、筆記と射撃の試験を受ける。
この際、犯罪歴や精神的な疾患、アルコール中毒、住所が定まらない者などは許可されない。精神状態について、医師の診断書を求められるが、簡単な聞き取りですまされる場合が多いという。
警察庁によると、06年末で所持が許可された散弾銃とライフル銃は全国で約30万5000丁。10年前の97年は約39万3500丁で減少傾向だった。しかし、発砲事件は今年は1〜6月までにすでに7件発生し、昨年同期の1件を大きく上回っている。最近では▽06年3件▽05年13件▽04年7件▽03年10件、起きている。
許可をめぐっては、02年に宇都宮市で無職の男が隣人の主婦を射殺した事件で、男が事件の約1カ月前に栃木県公安委員会の許可を受けていたことが判明。宇都宮地裁は今年5月、県警の担当者が男の身元調査などを怠ったとして、県に対して遺族らへ約4700万円を支払うよう命じている。
事件の多発を受け、11月に国会で成立した改正銃刀法では、射撃や狩猟など許可条件以外で使用した場合の罰則を、従来の懲役2年以下または罰金30万円以下から懲役5年以下または罰金100万円以下に引き上げた。
(12月15日 毎日新聞)