他候補者に「おい売国奴」拡声器で罵声、「凸」と称して迷惑行為も…東京15区補選で何が起きているのか4/23(火) 17:44配信 弁護士ドットコムニュース4月28日に投開票される東京15区補選で「選挙妨害」とも言える凶行が繰り返されている。この選挙に出馬しているつばさの党の候補者たちによるもので、他候補の街頭演説に重ねるように拡声器で大声を張り上げるなどしており、有権者が演説の内容を聞き取ることができなくなるなどの実害も生じている。一方、選挙期間中の候補者による活動であることから警察が取り締まりにくい現状もあり、不測の事態にどう対処するかが問われている。(ジャーナリスト・宮原健太)●候補者に対して「おい売国奴」罵声を浴びせ「おい売国奴」「今すぐ立候補を取り下げろ」「いい加減にしろよ」「逃げんな」江東区で実施されている東京15区補選の街頭演説で、候補者に対して拡声器を使って罵声を浴びせる光景が何度も目撃されている。この選挙に出馬している、つばさの党の根本良輔候補、同党の黒川敦彦代表らによるもので、彼らは他候補の街宣の場に乗り込み、演説に対して大声で批判を重ねる手法を展開。トラブルを引き起こし、暴力沙汰まで発生している。加えて、他候補の選挙カーを自分たちの選挙カーで追いかけまわして邪魔をするような行動も繰り返しており、それらを「凸」「カーチェイス」などと称してYouTubeなどにアップして拡散しているのだ。こうした中、他陣営はつばさの党からの襲撃を受けにくくするため、街頭演説の日時や場所の事前告知を控え、有権者が候補者の演説にアクセスしにくい状況にもなってしまっている。つばさの党によるこれらの行動は選挙活動というよりも、他候補の選挙妨害といえ、実際に警視庁は18日、黒川氏らに公職選挙法違反の警告を出した。しかし、その後もつばさの党は同じような行動を繰り返しており、選挙戦は収拾がつかない状況に陥っている。念のため付言しておくが、選挙戦において他候補の批判をするのは何ら問題ない。また、選挙演説に支障をきたさない程度のヤジは言論や表現の自由として認められている。例えば、2019年に札幌市で安倍晋三首相(当時)に対して「増税反対」などとヤジを飛ばした市民が警察によって排除された事案については、北海道警側に違法性があったとして損害賠償を命じる判決が札幌地裁、札幌高裁で出ている。だが、つばさの党の候補者らによるものは、聴衆が演説内容を聴き取れなくなるほどの騒音で、表現の自由からは大きく逸脱していると捉えられるだろう。●「つばさの党」とは何者かそもそも、このつばさの党の人たちは一体何者なのか。もともとは2019年の参院選に向けて結成された「オリーブの木」という政治団体に由来している。党名はイタリアにおいて中道左派勢力を結集して作られた政党連合に由来しており、これまでバラバラに活動していた政治勢力を1つにまとめることで国政選挙に候補者を当選させ、国民のための政策を実現することを目的としていた。そこに参加したのが元衆院議員の小林興起氏、新党憲法9条代表で元外交官の天木直人氏、そして現在のつばさの党の代表を務める、市民団体「今治加計獣医学部問題を考える会」共同代表の黒川氏だった。新たな政治の動きを作るために互いの主張の違いを乗り越えて連携する、ある意味で寛容さも兼ね備えたような政党でもあったわけだが、しかしそれは主張の分かりにくさとなり2019年参院選では得票率0.3%と低迷。一方でこの選挙では主張を先鋭化させた、いわゆるワンイシュー政党とも言えるNHKから国民を守る党(当時)やれいわ新選組が注目を集め、初めて議席を獲得した。筆者は当時のこの選挙における経験が、現在のつばさの党の暴走に繋がっているのではないかと見ている。つまり、主張を尖らせることによって注目を集め、国会議員を誕生させるという他党の成功例を追いかける中で、現在の過激な行動に行きついてしまったわけだ。オリーブの木はその後も活動を続けるが、選挙を前後して小林氏、天木氏が離脱し黒川氏の個人政党と化して、つばさの党に党名を変更。一時期はNHK党と連携して黒川氏が同党幹事長に就任していたこともあったが、現在は関係を断って独自に活動している。●犯罪ではない? 候補者を出しているが故「無敵の人」状態にこのように、結成当初とは様変わりしてしまったつばさの党だが、彼らがやっている選挙妨害は犯罪にはならないのか。これは公職選挙法225条に「選挙の自由妨害罪」というものがあり、候補者に暴行を加えたり、交通や集会、演説を妨げたりした場合には4年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金と定められている。警視庁が18日に出した公選法違反の警告は、この条文によるものと見られる。一方でつばさの党の候補者らは警告を出された後も選挙妨害を繰り返しており、それに対して警察も対応に苦慮する事態が続いている。というのも、この選挙自体につばさの党の根本氏が立候補しているため、彼らは候補者や応援弁士による演説として拡声器などを使うことが認められているのだ。 それでも他候補の演説を妨害すれば公選法違反になるのだが、警察は捜査が選挙に影響を与えないよう、選挙期間中は候補者に対する強制捜査や立件を控える傾向がある。こうしたことも見越してか、黒川氏は警告を受けて城東警察署内でノートを投げるなど暴れまわり、その様子もYouTubeにアップしている。一般人であればすでに逮捕されていてもおかしくないのだが、候補者を出しているが故にもはや「無敵の人」となっているわけだ。滅茶苦茶である。●民主主義が一部の暴走した人たちによって破壊されかねないこのような事態について、ついに国会でも議論の俎上に上がった。22日、衆議院予算委員会で国民民主党の田中健衆院議員が選挙妨害について「候補者の演説を聞きたい有権者の権利も奪うことになり、民主主義の危機。何らかのルールが必要だ」と取り上げ、岸田文雄首相は「何らかの対策が必要ではないか、問題意識は共有する。各党各会派で議論すべき課題だ」と答弁した。今後、選挙妨害に対してより機動的に対応できるようにするため、公職選挙法の改正なども議題となっていくかもしれない。現在は好き勝手な行動をとり続けているつばさの党だが、選挙が終われば警察が捜査を本格化させる可能性もある。選挙で各候補者が何を訴えているのかを知るために、有権者が街頭演説を聞きに行く、こうした当たり前の活動を守っていくためにも、警察は常軌を逸した選挙妨害を厳しく取り締まっていく必要があるだろう。民主主義が一部の暴走した人たちによって破壊されないためにはどうすれば良いのか、根本から考えることが求められている。
◇ 乱立・激戦で注目を集める!
新興の「妨害集団」と、妨害にかかる選挙制度の改正へ!
衆院東京15区補選では元格闘家や芸能人、著名人、Youtubeで話題となった新興の保守政党候補者が軒並み立候補して混戦・乱戦模様となっている。
尤も候補者の誰かが抜きん出て当選を勝ち取ることも然ることながら、前議員が刑事罰に問われる形での辞任でセンセーショナルに失職し、誰もが大きな注目を集める補選にあって「次」に向けて名を売る格好の場となっている。
確かに名前を売り出す意味で、他の候補者らとしのぎを削るには絶好の舞台と言えるだろう。
その東京15区で立候補している根本良輔候補(つばさの党)と、同党代表の黒川敦彦氏らによる過激な「選挙妨害」が問題視され、国会でも質疑の対象となって岸田文雄首相が答弁する事態となっている。
黒川氏ら『つばさの党』と言えば昨年1月には創価学会の本拠地として知られる信濃町にて『公明党』本部前で大々的な抗議デモを展開し、『新しい国民の運動』なる政治勢力を台頭させたことで知られる。
◆ 外国人犯罪撲滅協議会 公式サイト(広報)より再掲2023年01月15日 【東京】反創価デモと『新しい国民の運動』レポート!
一時期は合流した公党『NHK党』の幹事長を黒川氏が務め、与野党幹事長が一堂に会したTV討論番組にて同氏が故・安倍晋三元首相を貶す意味で放送事故とも言えるパフォーマンスを展開したことが未だ記憶に新しい。
参院選挙期間中のTV討論での幹事長同士による討論。故・安倍元首相がテロの凶弾に斃れたのはその直後のことであった。
黒川氏や根本氏らはそのNHK党とも決別して離れたようだが、15区にも立候補している根本候補と言えば葛飾区議選に立候補して惜敗しては激しく落胆する様子がYoutube動画で公開されるなど、ナルシスト的な姿が未だ記憶に生々しい。
その黒川・根本両氏とつばさの党による他党・候補者への激しい選挙妨害がネット上でも大きな話題となっているが、公党からも離れてタガが外れたと言うよりは、元より「そうした性質」を持っていたと言ったほうが適切だろう。
選挙妨害と言えば「ヘイトスピーチ反対」を口実に、主に『しばき隊』と称される左派・極左崩れのはぐれ者らによる保守系候補者への演説妨害が近年は常態化していた。演説する保守系候補者に対し、罵詈雑言の罵声を浴びせ続けることで騒音を立て、演説内容がまったく聞こえない状態とする手法である。
前述のように「はぐれ者」と形容したのは左派・極左にあっても、まったく相手にされておらず、どこの組織にも属せない、本筋からは外れた連中という意味。
生前の安倍首相(当時)の街頭演説に対する(集団的・組織的な)選挙妨害は多くの識者が指摘しているところだ。
黒川・根本両氏らつばさの党勢力は一見は保守・愛国的なスローガンを掲げてはその行動もカルト教団などに対しての熾烈な抗議行動を展開するなど、右から政権与党をバッシングする新興勢力として注目を集める一派であることに違いはない。
ただ、今回のように衆院東京15区補選という全国的にも注目を集めている選挙戦での各党候補者への熾烈且つ露骨な選挙妨害は単なるパフォーマンスではなく、その背後に相当な資金なり「バック」があっての刑事事件での立件も覚悟の上でのものと思われる。
無論、選挙戦そのものが一種の「戦争」であり、各党・各候補者が他者を押しのけるようにして議席をもぎ取り、優劣を競う競争・争いである以上、ルールの範囲内で他党・他候補者への非難も選挙戦でのパフォーマンスとして許容・肯定されるべきものではあるのだろう。
しかし、黒川・根本両氏らつばさの党勢力は自らも選挙戦に立候補する「候補者」という立場を利して、他党・他候補者への妨害に特化しているように思える。
前出の『しばき隊』による有象無象が選挙運動の場に出没しては保守系候補者への演説妨害を繰り広げる選挙妨害は遂に、「直に選挙戦を争う候補者としての選挙妨害」にまで拡大したことを意味するのが黒川・根本両氏らつばさの党勢力である。
黒川・根本両氏らつばさの党勢力が選挙後、刑事事件での逮捕まで覚悟で激しい選挙妨害に及んでいるのには先述のように相当なバックなり資金なりがあってのもの。
以前、知人が東京・新橋(港区)のJR新橋駅前(通称SL広場)にて黒川・根本両氏らつばさの党勢力による『参政党』への演説妨害を直に目にしたと言っていたが、こうして保守系の新興勢力に誰彼なく好んで争いや妨害を仕掛けるのが黒川・根本両氏らつばさの党なる勢力。
それらの一連の動きを15区補選での選挙妨害に照らしてみると、総体的に黒川・根本両氏らつばさの党勢力による目論見がどこにあるのかは一目瞭然。
黒川・根本両氏らつばさの党勢力は一見は保守・愛国の体を装っているが、新興勢力バッシングの「先兵」として雇われるなり、使われているなりしていると見ることも出来るだろう。
以前なら、こうした所謂「妨害集団」とは素手による暴力的言動での威圧や、時に武器・凶器を用いての妨害であったが、それがマイクを手にスピーカーから騒音を発する妨害に拡大し、そして選挙戦での演説妨害から遂に同じ候補者としての妨害にまでレベルが拡大している。
その先陣を切っているのが黒川・根本両氏らつばさの党勢力であるわけだが、そのもっぱらの標的は大作家・百田尚樹氏が率いる『日本保守党』であることは間違いないだろう。
ここからも黒川・根本両氏らつばさの党勢力が一方で政権与党や(政権与党に強い影響力を持つ)カルト教団を糾弾する一方、参政党や日本保守党といった新興の保守勢力・政党を主たるターゲットとしているかが分かるというものだ。
仮に選挙後、黒川・根本両氏らつばさの党勢力に対する選挙妨害での立件なり逮捕なりがあったとしても、彼らはまた今度は司法を相手に激しい抗議行動を展開し、自らの党勢拡大に利するであろうことは間違いない。
まさに、「しばき隊の保守・愛国バージョン」と言うに相応しいが、一度は公党(NHK党)幹事長として同党に一派を形成した黒川・根本両氏らつばさの党勢力とは実に厄介な存在である。
令和時代に突出した黒川・根本両氏らつばさの党勢力の存在とは、選挙戦の在り方そのものを問い直してもいる。
確かに選挙は各党・各候補者がそれぞれの主張・政策を出し合い、その中でも熾烈に議席の座を争うもの。
政策での批判の合戦・応酬は大いに結構なことだし、お上品にするばかりが選挙戦ではないが、「討論」「論争」のスタイルに託(かこつ)け、他党・他候補者に時間を取らせての演説妨害であるばかりか、選挙運動そのものを阻害するような暴挙を断じて看過・容認してはならない。
これら極少な妨害集団さえ逮捕・摘発そして処罰出来ないとすれば、選挙運動・選挙戦そのものをやっている意味がない。
まさしく冒頭に転載した引用ニュースにもあるように、シャレではないが、根本(ねもと)らの行ないはその根本(こんぽん)から叩き直していく以外にないだろう。
選挙妨害と断定された者には半永久的に選挙に立候補することが出来ない…といった程度の法改正・解釈くらいは必要ではないか?